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2009年9月 6日 (日)

風と陽光(ひかり)のエリア~1~

突然、後ろからクラクションを鳴らされた。
よけた横を、さほど大きくないオートバイが通りすぎ、
赤いテールアンプが、尾を引きながら、坂の向こうに消えた。

山を削り造った新興住宅街「希望が丘ニュータウン」。
同じような造りの家が並ぶ一角に、三年前、やっと手に入れた我が家がある。

テールランプの消えた跡をぼんやり眺めながら、大きなため息をついた。

昨日の妻との会話がよみがえる。

昨晩、残業を終え、帰宅すると
妻が、困ったような顔で話し出した。
「あなたから、言ってください。」
「どうした?」
「あの子ったら、勝手にオートバイの免許取ったんですよ。」
「えっ?」
「だから、オートバイの免許ですよ。」
「お金はどうしたんだ?」
「アルバイトと今までの貯金を使ったらしいです。
とにかく、明日、早く帰って来て、あなたからちゃんと言ってください。」
「あぁ、わかったよ。」

それで、仕事を早く切り上げ、家路に着いたのだ。

いつもより重く感じる玄関を開けると、キッチンから妻が
「早く、話をしてきて」と目線を送る。

着替えを早々に済ませ、息子の部屋をノックすると、
半分、すねたような声で「は~い」と返事が返ってきた。
私が、なぜ、早く帰ってきて、何を話したいか、察しがついているのだろう。

部屋に、入って目が合うなり
「やだよ」ときた。
「何が・・・」
「勝手に、免許を取ったことはわるかったよ。でも、言ったら、反対するだろう」
「何でそう思うんだ?」
「お母さんは、心配性だし、お父さんは、オートバイを見ると、いやな顔をするから・・・」
「お母さんが心配するのは、当たり前だろ?」
「でも、お父さんは、何でいやな顔するのさ?」
「それは・・・」
息子は、机の引き出しから、紙のようなものを取り出して
私の顔の前に突き出した。

私は、言葉を呑むしなかった。

そこには、旅装備のオートバイに乗った、19の私の姿があった。

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コメント

おっ、おお~
小説再開ですね
Papaさん小説を楽しみにしている者として続きが楽しみです
旅立ちへ向けた良い助走になりそうですね
ちなみに、これを読んでると無性にバイクに乗りたくなるんですよ^^;

投稿: 湘南ライダー | 2009年9月 6日 (日) 22時24分

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