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2013年8月31日 (土)

やっと辿り着くからこそ・・・

オートバイは、夏暑く、冬寒い。
雨が降れば濡れるし、風が吹けば煽られる。

長距離を走る疲労感は四ッ輪の比ではない。

そんなオートバイだからこそ、やっと辿り着いた絶景は
四ッ輪のそれとは比較にならぬほど、眩しく感じられる。

真夏を過ぎて、陽差しが豊潤で淡い秋の光を濃くしてきている中、去年から行きたかった下栗の里に行ってきました。

朝5時、お決まりの眠れない夜を過ごして寝床から抜け出す。
それでも、多少微睡んでいたのか、寝不足を感じることもなく、ソファーでコーヒーを飲んだ。

昨晩、揃えておいたウエアを身に付け、準備したシートバックとメットを持って玄関を出る。

微かに秋を含んだ空気の中で細いサイドスタンドでその身を支え、頼り無さ気に相棒が佇む。

バックを積み、メットを被り、新調したばかりのクシタニのグローブをはめ、キーを回す。

セルを押して火を入れると、相棒が頼もしい存在に変わる。
今日の行程はかなり長い。
こいつが力を貸してくれなければ、走り切るどころか目的の地へ行き着くことすら出来ない。
いつものように「宜しく頼む!」とタンクを軽く叩き、クラッチをミートする。
小さな身震いと共に相棒が路面を蹴る。

動き始めた街を抜け、新しく出来たICから高速に滑り込む。
制限速度+αで身体に当たる風は季節が少し進んだことを感じさせる。

予定通り、ネオパーサ清水で休憩をとり、ツーリングの時しか食べない朝食を摂る。

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休んだついでにクシタニのショップで目の保養をし、再び走り出した。

浜松浜北ICで下り、R152を北上。
山間に入る前に、これからの行程を考えガソリンを補給する。

約束の時間には十分間に合う。
焦ることなく、気持ちのいい速度で相棒を走らせる。

2013_08_27_6300
時代も変わったものだ。
最近、宇宙を感じるニュースが多くなったと思っていたが、スペースシャトルどころかオートバイでも「月」に行けるようになったらしい。

交通量が減っていき、やがて前にも後ろにも四ッ輪がいなくなり、長い草木トンネルを抜けると道は林道と呼ぶに相応し狭道になる。

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後でわかったのだが、ここでこの日最初のルートミスをしていた。
草木トンネルの手前を右に入り、津島神社、足神神社を通り、青崩峠を越えるのが正解らしい。
結果R152に出るのは同じだが、地図はこちらの道を今まで走って来た秋葉街道と示している。
こちらの方が道幅も広く林道区間も短いようだ。
ともかく、6kmを30分かけて走り、再びR152に出る。
幾つかの集落を抜け、飯田市立上村小学校に辿り着いた。

エンジンを切り、メットを脱ぎ、髪の間に空気を入れる。
ここで前日、輪島に泊まったGAZZYさんを待つ。
GoProの準備をして時間を潰していると、最近よく聞くボクサーツインのサウンドが聞こえてきた。

2台で山を駆け上がる。
10分程で下栗の里・はんぱ亭に辿り着いた。

ところがイレギュラーの用事が入ったGAZZYさんとはここで別れることに・・・

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相棒を駐車場に残し、山道を登る
20分で目的の場所に着いた。

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下栗の里ビューポイント・・・
通称「天空の里」・・・「日本のチロル」とも呼ばれる場所

駐車場に戻り、再び相棒を駆って次の目的地を目指す。

13kmの山あいの狹道を走り、目的地「ハイランドしらびそ」へ

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ここでまた彼女に会った。
彼女・・・GAZZYさんとの待ち合わせ場所に向かう途中立ち寄った「道の駅 遠山郷」で出会った女の子
彼女が乗るCB400SSのナンバーが大阪なのに驚いた。

その後、GAZZYさんを待つ間に抜かれ、はんぱ亭の駐車場でオートバイを見かけ、ビューポイントに向かう山道ですれ違った。

そして、「ハイランドしらびそ」で会った時はさすがに「後を追い掛け回してるわけじゃないよ」と声をかけた。
俺よりだいぶ前にはんぱ亭を出た彼女は、少し道に迷った挙句、俺とほぼ同時にここに着いたらしい。

写真を撮り、彼女に少し遅れて出発。
いいペースで走っていたら、「しらびそ峠」を行き過ぎてしまい引き返す。
その途中でまた彼女とすれ違う。
メットの中で思わず苦笑が漏れる
「ストーカーだと思われても文句言えねぇな」

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しらびそ峠で写真を撮り、R152に下る道の途中、彼女がオートバイを停め写真を撮っているのが目に入る。
相棒を停め「写真、撮ってあげようか?」と声をかける。

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控えめに微笑んでくれた彼女のデジカメを預かり、彼女とオートバイをフレームに収める。
これだけ会うのも何かの縁と俺のカメラでも撮らせてもらうと、彼女も自分のカメラで俺と相棒を撮ってくれた。

大阪から往復700kmの日帰りツーリングだという彼女とお互いの道中の無事を祈り、挨拶をして走り出す。

狭くブラインドコーナーが続く道を下る。
ここでこの日二度目のルートミス・・・
大鹿村に向かう分岐を見逃し、松川ICに向かう矢筈トンネルの入口まで下りてしまう。

来た道を引き返し、分岐を見つけ大鹿村を目指し、分杭峠を越えR152に入る。

国道とは名ばかりの酷道を走る。
山あいの落日は早い
時折、太陽が稜線に隠れると辺りは突然薄闇に包まれる。
あまり遅くなるとライトの明かりだけを頼りに走らなければいけなくなる。

ブラインドの手前ではしっかり減速しながらも可能な限りペースを上げる。

狭い酷道を約100km二時間強で走りきり、諏訪ICの近くでR20に出る。
不思議なもので、帰路はまだ150kmあるのに、ここまで来るともう帰り着いたような気分になる。

諏訪ICで高速に乗らず、走り慣れたR20を韮崎まで走り高速に滑り込む。

途中の双葉SAでかみさんに電話を入れ、恒例の小仏トンネルの渋滞をすり抜け、調布ICで高速を降り自宅に辿り着いた。

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実に15時間620km・・・うち120kmは狭い酷道という過酷なツーリングを走り、帰り着いた時は「二度と行かね」と思っていたが、あれから数日経った今、既に次はいつ行くか考えている。

最後に南関東から行く方へのアドバイス・・・
新東名の浜松浜北ICで降り、R152を走り、草木トンネルの手前の分岐を青崩峠方面に向かい、R152を走り、上村小学校の少し先を右に折れ、 下栗の里~しらびそ峠と走ったら、大鹿村に向かわずそのまま矢筈トンネルを通り、松川ICから高速に乗ると割と疲れずに行けると思う。

もちろん、クネクネが大好物という方は今回俺が通った道がお薦め!

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コメント

お疲れ様でした〜堪能させて頂きました。
携帯からだと16ページでしたよ(^-^)

新しいコースで行ってみたいですね〜♪
落ち葉が少ない今が一番でしょうね! でも紅葉も良いな(^-^)


投稿: KON | 2013年9月 1日 (日) 15時41分

■KONさん
長文読んでいただきありがとうございます。
今度から
「携帯の方はパケ・ホーダイの契約をあ勧めします」と
注意書きをしないと…Docomoの回し者だね(笑)

ご一緒したいですね~~
なんとかなりませんかね(ーー;)

投稿: Papa | 2013年9月 1日 (日) 23時23分

長距離&長文お疲れ様でした(笑)
いろいろな出会いもあって楽しそうなツーリングでしたね。
今度、下栗の里、行ってみたいと思います!

投稿: うなぎ屋 | 2013年9月 2日 (月) 08時06分

■うなぎ屋さん
返事遅くて…m( __ __ )m
出会いはあるのは、ソロツーの楽しみです。
そちらからだと、結構ありますけど、一度見る価値はあると思いますよ。

投稿: Papa | 2013年9月 6日 (金) 08時55分

遅ればせながら、先日はありがとうございました(*^-^*)

あれ??こんなナンバーの方がこんな時間にこんな場所にいてていいのかしら??と思っていましたが……
やはりかなりの距離だったのですね〜!
こちらは730キロありました(^o^;)

写真を撮っていただいて、ブログにもステキに書いていただいてありがとうございます♪♪

下栗の里、よかったですね(^^)
これからも素晴らしい景色が見れますように

投稿: CB400SS乗り | 2013年9月 9日 (月) 20時18分

髪の間に空気を入れる…。なんでそんな、暑い夏を、あの動作を表現できるんですか。。。

久しく会ってないですが、どっかで飯でもしましょう!

投稿: ヨウ | 2013年9月12日 (木) 22時09分

■CB400SS乗りさん
こちらこそありがとうございました。
>あれ??こんなナンバーの方がこんな時間にこんな場所にいてていいのかしら??と思っていましたが……

ちゃんと帰れたんですね。ちょっと心配してました。
730kmとはすごいですね。
よく言われるのは「バイクで一日に走れる距離はそのバイクの排気量」ってことですから、約二倍ですもんね。

また、どこか道の上で会えるといいな。
まぁ、変なおじさんにナンパされた思い出として旅の1ページに加えていただければ…

では、God-Speed、また、いつか、どこかの道の上で

投稿: Papa | 2013年9月13日 (金) 13時00分

■ヨウくん
ん?表現を褒めて頂いてるんであれば、それこそ片岡義男さんから読み続けてるバイク小説のおかげです。
最近の文章は、どちらかと言えば「山田深夜さん風」ってところかな…

>久しく会ってないですが、どっかで飯でもしましょう!
イマイチ貴方が住んでるところとの距離感が掴めないんだよね。
誘ってくれれば、いつでもいくよ。
神奈川と東京の境あたりで…

投稿: Papa | 2013年9月13日 (金) 13時06分

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